愛してる。アイシテル。何回言ってもまだ足りない。


白 い 恋 人 (クリスマス銀土編その2)



「38度5分……災難ですね銀さん折角のクリスマス…しかも土方さんもオフなのに…」
「……うっせえぞ新八。さっさと神楽連れてお妙んトコ行け。うつすぞコラ」
「あーハイハイ。ちゃんと安静にしていてくださいよ?」
「銀ちゃん、成仏するアル」
「死んでねえ!!」

パタン、と扉の閉まる音がして、銀八と神楽が出て行く。今日明日と新八の家で過ごすのだと二人が言っ
ていた。ふと時間を見るとあと少しでトシが家へ来る時間だった。
……本当最悪。昨日、イブだって言うのにトシは仕事で、俺も寂しさに自棄起こして無理やり探した日雇
いのバイトをやっていた最中、思いがけずロマンチックにホワイトクリスマス…要は雪が降ってきた。傘も
無かったし、野外バイトだったからそのまま仕事を維持で続投していたら昨日の晩から熱が出た。
とりあえず薬だけ飲んでさっさと寝たけれど、今日も熱は下がらないまま…。
俺をダルさのどん底へ突き落とした雪はまだ降り続いている。今日と明日をオフにしてくれたトシとゆっくり
しているはずだったのに、コレでは早々に帰ってもらうことになりそうだ…。
ってか、携帯で連絡すればいいんだろうケド、でもさ。
一緒にいたいじゃん。恋人同士なんだよ。我儘だって分かっているし、風邪をうつしたらいけないことも分
かってはいるけれど、でも声だけじゃなくって、顔も見たいんです。
俺の愛しい、愛しい恋人は、家事とか仕事とかそういうことは出来るのに、文明の利器についていけてな
いので、携帯のメール、しかも1行メールでさえも3分以上かかるというスペシャル機械音痴。パソコンな
んてもってのほか、携帯もやっと通話を覚えてお兄さん嬉しいよ。な状態。
連絡の取りづらい彼だからこそ、こういう機会を逃したくない。

ピンポーン。
チャイムのあとにすぐ扉が開いて足音が段々近くなってくる。

「銀?入るぞ?……ってうわ。」
「うわ、って微妙に傷つくから、トシちゃん」
「トシちゃん言うな。……風邪かよ。熱は?」
「8度ちょい」
「他には?」
「だるい、か?寒いし。そんくらい」
「連絡くれればよかったのに」

それは、つまり。俺の一番いやだった、

「今日のデートキャンセル、ってこと?」
「違う。何か身体によさそうなもの買ってきた、ってコト。マイナス思考なんだよ、馬鹿」
懐から携帯灰皿を取り出して煙草をもみ消す。当たり前のようにそんな言葉を投げかけてくるトシにめちゃ
くちゃ感動。トシーっと布団から這い出て座っているトシの腰にまとわりつくと、ふわふわと髪を撫でられた。
そのあとに額に手を当てられ、その手が冷たくて気持ちよかった。


「この家、食料あるっけ?」「何か昨日、新八が買い込んでいた気がするけど、良くはしらねえ」
「じゃあ、あり合せで何か作るけど、後で買い物行ってくる」
「…………寂しいんですけど」
「大人しくしてろマダオ」

ぎゅーっと腰にすがり付いて離れない俺の頭を軽く叩いて立ち上がる。
ちょっと寝てろ、と布団に押し戻されて布団をかぶると熱のせいかすぐに睡魔が襲ってきて、ぼやける視
界で、トシが優しく笑ったのが見えた。







「ん、ぎん。ぎーん」
「ぬぅぅぅ?」

ぺしぺしと頭を叩かれる感触で起こされる。どうやら眠ってしまっていたらしく、あたりはもう真っ暗で電気
がつけられていた。トシの手がいつの間に貼ったのか額に貼ってあるヒエピタをペリっと剥がすと、熱を測
れと体温計を無言で差し出してくる。それに従って体温を測り、差し出されたコップの水を飲み干した。
何時かと時計を見るともう6時過ぎで、一日の大半を寝ていたのだと実感。

「食欲、あるか?」
「かなり腹減ってる。トシの手料理食べたいな。愛妻料理!男のロマン」
「……食欲あるなら大丈夫か」
「……流さないでよハニー」
「消化の良いもの作ったから。明日直ったらクリスマス料理作ってやるよ」

ちょっと遅くなっちまうけど、と柔らかく微笑む彼がすごく愛しくて、可愛くてぎゅーっと抱き締める。
そのうちに体温計がピピピっと音を立てて、ソレを見やると6度5分。微熱まできっちり下がっている。8度
からの急激な下がり具合にトシは呆れながらも、よかったなと笑ってくれた。
触れ合う体温が暖かくて、ものすごく安心する。

「トシー、超アイシテルー」
「はいはい。超とか言うないい年して」
「ちゅーしていい?」
「はぁ?」

聞いた瞬間に呆れた声を出したトシの唇を無理やり塞ぐ。最初は触れるだけ、でもどんどん深くしていって、
苦しくなったのか背中に回されたトシの腕がドンドンと俺の背中を叩く。
飲み込みきれなくて口から零れた唾液を舌ですくって舐めて最後にもう一度触れるだけのキスをした。顔
を離すとトシの顔は真っ赤になっていて、斜めに視線をずらしてしまっている。その視線にあわせて俺も移
動すると、さらに顔が赤くなって、可愛かった。思わず、かわいい、と口に出すとやっぱり呆れ顔になって、
そのあとまた視線をずらされてしまった。

「馬鹿だ、お前」
「馬鹿で良い」
「はやく、なおせ」
「トシのおかげでもうピンピンしてます」
「でも、なおせ」

ちょっと片言で、甘えるように擦り寄りながら言ってくる彼が可愛くて、もう一度抱き締めてキスをした。
窓の外はまだまだ降り続く雪が、確かに積もっていて世界中の恋人を祝福しているように思える。
…俺が今現在すっげえ幸せってのも関係あるのだろうけど。

「トシ、」
「ん?」
「メリークリスマス、愛してるよ」
「おう、俺もだ」

どちらからともなくキスをして、力いっぱい抱き締める。




君がいてくれて、よかった。











END
甘く…なりましたでしょうか?なってたらイイナ!!




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