なかなか素直になれないけれど。
あなただけ、愛してる。




LOVE ME TENDER




「らーぶみーてんだー、らぶみーすうぃー」

日差しがあたたかくて、うつらうつらしていた頭の片隅に、ふとたどたどしい歌が聞こえた。
ここは、銀時の家で。
今日は非番で。
オレはなぜだか銀時に膝枕をされていて。
一方の銀時は、オレに膝枕をしながら某ゲーム機で脳年齢を測定中。

「ねーばー、れっとみー、ごー」

低い声が囁くように歌っていて、少し掠れている。心地いい声。意外と上手い歌にびっくりした。
合間にピコン、ピコン、と機械音がする。途中で歌詞が分からなくなったのか、鼻歌に切り替わって少し
可笑しい。安心できる空間に、心も身体も和んでくる。
半分眠っていた頭が覚醒し始めていて、そろそろ起きようかとも想う。

「ふぉーまいだーりん、あいらびゅー」
「へたくそ」
「っうを!!」

その言葉を発した時の問題が最終問題だったようで、結果が効果音とともに表示されている。手から奪
い取って中身を見たら高齢者。
予想通りの年齢に、思わず声を上げて笑う。

「馬鹿だー」
「生き抜く知恵をもっているから良いの!もう眠くねぇの?」
「まーな。へたな歌で目が覚めたし」
「え、オレ騒音?!」

膝から頭を離して銀時の隣に座りなおすと、おはようのチュー、と言いながらキスが降ってきた。
ここ暫らく休みが取れなかったせいか、銀時はいつも以上に懐いてくる。それはオレも例外なんかじゃな
かったけれど。目の下に少しできた隈をなぞられて大丈夫?と聞かれた。
なんだか急に恥ずかしくなって両頬を包まれている手に、自分の手を重ねてそのまま頭突き。

「………〜〜〜っ!!」
「……あ、わり」
「そこはチューでしょ!!」
「出来るか、そんなこと!!」
「うわ!なにそれ!」

愛がたりませーん、と揉みくちゃに構い倒されるのを必死に避けながら想う。
少し捻くれた時もあるけれど、恋愛に対してはとても素直なオレの恋人。
そんなコイツは、いつも捻くれていて、恋愛だって素直になれない俺を「愛している」と言う。
素直に、なれたらと思う。
もう少し正直になれれば、といつも思う。
そして、それを分かっていて少しずつ背中を押してくれるこいつは本当に凄いと思う。
じーっと見つめていたら、何?と聞かれたから、別に。と答える。
苦笑する銀時に、話題を変えようと考えてさっき歌っていた歌のことを思い出した。どこかで聞いたことは
あるけれど思い出せない。

「さっきの歌。どっかで聞いたことある」
「ん?あぁ。超愛しているから、お前もオレを愛してよ、っていう外国さんの歌だよ」
「……」
「えーっと、なんだっけ?優しく愛してー甘く愛してー決して僕を放さないで」

歌詞と記憶を懸命に辿る。
心底悩む姿にふと、笑うと、目が合って笑い返された。

「あ、そうだ。確か最後はね、」
「……っ!!」


「愛しのダーリン、愛しているよ」


そう言って耳元で囁かれた。
そのまま頬にキスされて、オレの方に乗り出していた身体をもとの位置に戻す。
本当に、愛されてる感じがして。
心の中で思っていることがムズムズして。
ちょっとは、素直になってやろうかと思った。

「……れも」
「え?」
「オ、レも……ちゃんと愛してるぞ?」
「…………っ!!」

数秒びっくりした顔で固まって、一気に真っ赤な顔になった。
こんなに動揺するコイツを見るのは本当に久しぶりで、なんだか役得な気がした。

「おま……それは反則だろぉー……」
「どうだ!」
「寝不足の反動?」
「……失礼なヤツだな、お前。そんなに言うならもう言わねえよ!」
「……いやいや!!もっと言って!今銀さんいつも以上に幸せだったから!!」

『いつも以上』って言うところに少し照れて、銀時の愛情表現にされるままになる。
ぎゅっと抱きつかれた、そのときに感じる体温が、愛しかった。


「あいしてる」


そう言って笑うと、またびっくりした顔をして、それから満面に笑った。




なかなか素直になれないけれど、愛しているのは貴方だけ。
ねえ、だから。優しく愛して、甘く愛して。
決してオレを離さないで。
オレの人生を満たしてくれた、貴方をとても愛してる。
オレを愛して、ほんとに愛して。



いとしのダーリン、愛しているよ。





END
砂吐きげろ甘を目指して失敗。キモいだけに。ちなみに新八と神楽はそうそうに逃げ出しております。
エルヴィスのラブミーテンダーがもとネタで。
歌詞と訳と歌で口直しをお勧めします!!
激短…。精進します。
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